市内から車でわずかの場所に、国内屈指の豊かな生態系を誇るバクマー国立公園が広がっています。チュオンソン山脈に位置するこの公園は、多種多様な野鳥の生息地となる熱帯林の聖域であり、東南アジアでも特に人気を集めるバードウォッチングの目的地となっています。
『コンデナスト・トラベラー・ミドルイースト』誌によると、2026年は世界的にバードウォッチング旅行への関心が高まっており、ベトナム中部が注目の目的地として紹介されています。この地域の森林には、優美なカザリオウチュウや鮮やかなキゴシタイヨウチョウなどが生息し、その美しい色彩と特徴的な鳴き声が自然景観に生き生きとした息吹を与えています。
ベトナム全体では900種以上の野鳥が生息しており、その中には数多くの固有種も含まれることから、世界のバードウォッチングマップにおいても非常に重要な位置を占めています。
その中心となるバクマー国立公園では、低地の熱帯林から霧に包まれた山地生態系に至るまで、360種以上もの野鳥が記録されています。
バクマー国立公園のカワセミ
バードウォッチャーにとって、同公園は滅多に見られない固有種から美しい姿を持つ森の住人まで、観察の楽しみに満ちています。特に人気の高い種には、ハッカンや希少なコサンケイ、アカガシラキヌバネドリ、キノドゴシキドリ、オナガヒロハシ、ギンムネヒロハシ、ハジロサンジャク、シナカザリツグミ、カオグロガビチョウ、シロエリオジロヒタキなどが挙げられます。
中でも、絶滅寸前に指定されているコサンケイや、準固有種であるカンムリセイランなどは、この地域の自然保護における重要性を象徴する特に注目すべき種です。
バクマーでのバードウォッチングは、単に見つけた野鳥のリストにチェックを入れるだけの活動ではありません。ベトナムで最も手つかずの自然環境へと深く入っていく没入感あふれる体験です。早朝のトレッキングでは森に響き渡る鳥のさえずりを聴くことができ、樹冠をたなびく霧がまるで映画のワンシーンのような格別な雰囲気を醸し出します。
オナガヒロハシ
訪れるのに最適な時期は例年12月から5月の間で、天候や環境が野鳥観察に適しており、森林散策もしやすくなります。
フエの大きな魅力は、文化と自然が密接に結びついている点です。午前中に皇城の建造物や古刹を巡り、午後にはバクマーの大自然へと出かけるといった旅を楽しむことができます。
また、近郊にあるランコーなどの沿岸リゾートも魅力を添えています。バードウォッチングとゆったりとしたビーチ滞在を組み合わせることができ、プライベートヴィラのテラスから自然な姿で生息する固有の野鳥を鑑賞することさえ可能です。
世界中の旅行者が意味のある自然主導型の体験を求めるようになる中、フエとバクマーはベトナム観光の新たな魅力を静かに築き上げています。ここではバードウォッチングは単なるマニアックな趣味にとどまらず、この国の豊かな生態系とそれを守る緊急性を理解するための入口となっています。
ベトナムのこの静かな地において、鳥たちのさえずりの一つひとつが生物多様性、自然保護、そして人と自然の永遠の調和の物語を語りかけています。








